がんとの闘い

はじめに

今回の記述に当たり、沢山の医療関係者の方々より、コメント及びアドバイスを頂きました。

この場をお借りして御礼を申し上げると共に、真摯に理解し、指導者として流布し、また、父の闘病に最大限尽力致します。

私が会長を務める青少年育成団体 実戦空手息吹之會では、健康増進法(平成14年法律第103号)第7条第1項の規定に基づき、『国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針』が改正され、平成25年度から平成34年度までの『二十一世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本21(第二次))』(以下「国民運動」という)に適用された、『国民の健康の増進の推進に関する基本的な方向』、第一条四項に則り、『民間団体の積極的・自発的な活動』を推進しています。

息吹之會本部が置かれている芦屋町では、健康増進法第8条第2項に規定する『市町村健康増進計画』に基づき、『芦屋町健康増進計画』を策定し、国の『基本的方針』及び『福岡県健康増進計画』を勘案し、実行していますが、芦屋町の主要死因は、癌(がん)が最も多く、6割となっており、次いで『心臓病』、『脳血管疾患』となっているのです。

『生活習慣病』といわれる『癌(がん)+心臓病+脳血管疾患』の3疾患による死因が全体の94.9%を占めており、癌(がん)においては、県、国よりも高い結果です(平成25年度統計)。

私の父も『『生活習慣病』』である『糖尿病+脳血管疾患+心臓病+癌(がん)』に冒されており、国が推し進める『生活習慣の改善(健康日本21(第二次)』(法規 健康促進法第8条、第9条))』に取り組み、『癌(がん)』及び『『生活習慣病』』と闘っています。

国が推進する『健康日本21(第二次)』では、『栄養・食生活』、『身体活動・運動』、『休養』、『飲酒』、『喫煙及び歯・口腔』の健康に関する生活習慣の改善に取り組みを啓発しています。

正に父の癌(がん)との闘病は、『生活習慣の改善』が第一優先であり、状況が好転したのは事実です。

この事実を病に冒され、闘っている方々に少しでも流布できるよう、国の方針及び法規に則り、空手及びスポーツ指導者として、尽力する次第です。

また、ここに記されている内容は、 約22000個ある遺伝子(1人分のDNAは、地球300万周分に当たると言われています)による変異性及び先天性癌(がん)に関して、また、全ての癌(がん)を対象にした記述ではなく、飽くまでも父に関する癌(がん)との闘いの記録であることを申し述べておきます。

一説には、先天性の遺伝で癌(がん)が発症する例は、全患者の5%~10%に過ぎないと言われています。

しかし、まだまだ未知数であり、研究は進められていますが、私達家族は、残りの90~95%で発症していると言われている、環境因子や加齢によって遺伝子が変異して発症する事例として捉え、奇跡を信じる想いで闘っています。

その内容が『生活習慣の抜本的改善』です。

そのような一つの記録として、何かのお役に立てれば幸いです。

病の正体を探る

父の最初の病との闘いは、8年前(平成21年)。Ⅱ型糖尿病からの合併症である二度目の脳梗塞発症でした。

一度目の脳梗塞時には、記録も取っておらず、私も撮影や仕事の関係上、付き添うことが出来ませんでした。

父は、山ほど出された薬を朝、昼、晩と、一日として忘れることなく飲み続けました。しかし、もう一つ、大切な守るべき医師の言葉を理解していかなかったのです。

『生活習慣の改善』です。担当の医師は、『運動』の実施と『食生活』の改善を強く指導していました。

二度目の脳梗塞が発症した当時、新作の撮影中だった私は、撮影を終わらせて慌てて帰郷します。父の血圧は、180を超え、血糖値は400を超えていました。

父は、正に昭和世代。高度成長期のど真ん中を生き抜き、食生活に関する有効なデータ等は、現代ほど蔓延されておらず、豪快に生きる男が美化されていた時代です。

暴飲暴食と喫煙は、確実に体を蝕んでいました。

平成26年度の糖尿病の患者数は316万6,000人となり、過去最高です。『生活習慣病』では、「高血圧性疾患」が1,010万8,000人、「高脂血症」が206万2,000人、心疾患が172万9,000人、「がん」が162万6,000人、脳血管疾患が117万9,000人という結果です。

正に当時の父もこの数値の仲間入りへとまっしぐらでした。

しかし、その代償は、余りに大きく、父は右片麻痺、そして、言葉を失います・・・。

 

 

バイパス術は、何とか免れたため、私と母は医師へ『食事療法』と『運動療法』に徹したいと伝えました。

私には、一つの勝算があったからです。2006年に明治大学犯罪学研究所において参与として2年間在籍しますが、その時に着目したのが『脳機能』でした。

きっかけは、未だロンブローゾの「生来犯罪者説」を論説する者がおり、「環境型犯罪性質」を唱えた私が着手したのが、環境から生み出される習慣性の課題でした。

付随して、刑事学でもある最広義の犯罪学の中で、 犯罪防止、犯罪者処遇、犯罪捜査における過程で発生する司法、警察犯罪も環境(権力や司法権)によって生み出されていることに着目したのです。取り調べにおける可視化が推奨される大きな要因です。

戦争然り、人間は環境が変動すれば狂気を発する可能性は否めず、地域性や家庭環境で誘発される可能性を題材にしました。

これは、武道教育の柱ともなり、武道における「心技体」を「脳機能・食育(脳育)・運動(筋力アップ)」と定義付けた独自のメソッドを構築しました。

つまり、人間の生体は、環境から構築され、『習慣性』により支配されるという理論です。父も正に『習慣性』に支配され、喫煙や暴飲暴食の呪縛から逃れることができなかったのです。

2003年には、アメリカMMA(総合格闘技)専門雑誌に「TAKAKI METHOD~闘技の哲学」を発表しますが、これは、運動機能の発達条件は健康指数とリンクし、一定の運動習慣性を定着させるだけで、健康数値に数倍にも及ぶ効果が現れるというものを記したものです。

筋力アップを図りながら、環境で培われた『習慣性』を脳機能を刺激して回避するというものです。

しかし、メンタル(精神面)と称される脳機能の改革は、並大抵のものではありません。継続を促し、人間の弱体化する習慣性を変えて行くシステム構築に父も苦戦します。悪しき習慣から抜け出すことは容易ではないのです。

私は、青少年育成の一環として武道教育を推進しています。その中でも用いていますが、心理学の応用であるコンフォートゾーンの入れ替え作業をトレーニングとともに行っています。

但し、家族の協力が重要で、私から離れた時間に家族がコンフォート(自己が一番心地よい思想)へと戻してしまいます。

例えば、食生活の改善をトレーニングとともに習慣づけている最中に、「可哀想だから」と食べ物を与えてしまいます。

その瞬間に、食欲は抑えられなくなり、ストレスは増大し、気力低下が起こります。そもそもが家庭での環境(生活習慣)に問題があるから『生活習慣病』にかかっている訳です。理解と協力がなければこの病には勝てないのです。

 

 

そして、父にとってもう一つ重要なことは、断薬でした。これは、飽くまでも父の例として記していますが、『生活習慣の改善』を行わず、薬に頼った生活の代償は余りに大きいものでした。

ある医師からは、断薬を推奨するとはけしからんとお叱りを受けることもありますが、断薬を推奨をしているのではなく、既に薬も効かず、生活習慣病及び糖尿病は、体の機能を奪い、生命にまで及んでいました。

父にとっては、この決断が効果的であり、『生活習慣』を改める大きなきっかけとなったのです。そして、この決断は、後の癌(がん)治療においても絶大な効果を発揮して行きます。

抗がん剤や薬により、完治した方も多くいるのは事実です。しかし、全て薬で完治するという一部の医師の考えは余りに傲慢です。

膨大な量の薬を一つ一つ慎重に調べ、一年以上をかけて断薬を行います。急激な断薬は、病状が悪化するばかりか生命を脅かすからです。

一旦薬物を体内に取り込めば、依存も含めて平常に戻ることは極めて困難になります。

特に降圧剤には相当の神経を使いました。徹底したバイタルサインチェックを行いながら運動療法に着手します。

バイタルサインとは、生命(vital)兆候(sign)を指し、「TAKAKI METHOD」では、脈拍及び心拍数、血圧にプラス血糖値を対象にしている。

失語(言語障害)と右片麻痺の後遺症が残る父のトレーニングメソッドを作成し、抜本的な食生活の改善を行いました。

有酸素を中心とした運動だが、後遺症を克服するため赤核へのアプローチも行う。

赤核とは運動に関わる神経核で、⽣理学研究所(⽣理研)の伊佐正教授と名古屋市⽴⼤学⼤学院医学系研究科の⾶⽥秀樹教授および⽯⽥章真助教を中⼼とする共同研究チームによって、脳損傷後のリハビリテーションによって運動機能が回復するメカニズムである運動に関わる神経核「⾚核」と⼤脳新⽪質に存在し随意運動を司る「運動野」との結合により、⿇痺した領域が拡⼤することが発見され、⽶国科学誌「Journal of Neuroscience」に掲載された。

高齢及び身体障害がある父にも行えるスロートレーニングを含んだ運動療法は、正に赤核融合により、麻痺の軽減が見られ、歩行や手の動きが改善された。このことによって、代謝率が上がり、免疫力のアップを向上させて行く。

人間の体には、食事から摂取した糖質や脂質が貯蔵されており、それら栄養素を分解してATP(アデノシン3リン酸)を再合成している。つまり、エネルギー代謝を如何に短時間で上げ、糖質と脂肪を燃焼させるかで、身体の細胞活性化の変異が見られるのである。

食事については、5大栄養素である『糖質』、『脂質』、『タンパク質』、『ミネラル』、『ビタミン』のうち、『糖質』を20㌘以下に抑え、変わる体を動かすエネルギー源として、良質な『脂質』である『オメガ3』を積極的に摂取した。これは、糖尿病により傷ついた細胞膜や神経などの構成も促す。また、『脂質』からのエネルギー生成には、ビタミンB2が必要なため毎食卵を摂取した。

 

運動療法の絶大なる効果

退院直後の推定血管年齢は90才。BMIは、26.3。体重が80.6キロ。血圧は、150を超えていました。血糖値も200前後を行ったり来たりです。

血管は、ボロボロでした・・・退院後から1年をかけてトレーニングを行っていきます。

 

 

一年後には、推定血管年齢が83才(-7才)。BMIは、23.5(-2.8)。体重が71.0キロ(-9.6キロ)。血圧は、136(-16)。血糖値も100(-300)前後に落ち着きます。

BMIの70才以上の目標値が、21.5~24.9ですから、23.5と言う数値は、エネルギー収支バランスが取れていることになり、高齢者向けのスロートレーニング及び食事制限プログラムが成功したことを意味しています。

BMI(Body Mass Index)とは、体に悪い肥満の目安であり、1994年にWHOで定めた肥満判定の国際基準のこと。

 

そして、断薬にも成功しました。断薬による副作用や後遺症は一切ありません。

この後に体力が向上した父は、驚異的な回復力を見せ始め、右片麻痺の後遺症と検査結果数値が更に好転して行きます。

医学の父と呼ばれたヒポクラテスが残した言葉、「食べ物で治せない病気は、医者では治せない」を肝に銘じて、5大栄養素(糖質、脂質、タンパク質、ミネラル、ビタミン)を中心に糖質制限からスタートしました。

カロリー制限では、筋肉は更に減少し、本末転倒と化してしまいます。勿論、日本人の食事摂取基準は重要ですが、生命さえ脅かす病魔のカウントダウンが始まった父には、血糖値の元凶、糖の排除が最優先でした。

そして、どの程度食に対する感覚が乱れているのかを把握しながら、脳機能を刺激して行く方法も取り入れました。長期戦の戦いに持ち込めなければ、この病には勝てないからです。

高 木 淳 也

4歳で空手を始め、14歳で極真空手福岡県支部分支部指導員として活躍。

16歳でJAC(ジャパンアクションクラブ)入団。入団直後に空手部門コーチに就任。

17歳でアクションTVドラマ『カンフーチェン』で、アクション俳優として主演デビュー。

以後、真田広之らと映画、テレビで活躍し、2013年、アメリカ合衆国ハワイ州ホノルル市郡政府より、賓客招待され渡米。

アクション俳優及びMartial Arts(武術)のスペシャリストとして政府機関、司法、一般へ向けてのデモンストレーション開催。

同年10月、アメリカ合衆国ハワイ州ホノルル市郡功績賞受賞。

2014年、アメリカ合衆国ハワイ州商務省MMA(総合格闘技)諮問委員就任。

同年、アメリカ合衆国ハワイ州ホノルル市郡政府特別顧問に就任。

2015年、UFCハワイジムで、日本人で初めてMartial Arts(武術)コーチを行う。

コーチ歴は、2017年で38年目を迎えた。

  • ハワイ州ホノルル市郡政府 Martial Arts(武術)スペシャリスト賓客招待者
  • American Red Cross(米国赤十字社)Fast Aid(救急救命上級技能認定者)
  • (公財)日本体育協会公認スポーツ指導者 空手教士七段
  • (公財)日本障がい者スポーツ協会 初級障がい者スポーツ指導員
  • (一社)日本免疫治療学研究会正会員
  • 日本スポーツ精神医学会正会員